エドワード・ゴーリーを巡る旅 ~奈良で再会した幻想と不条理~

CT 時事ネタ

奈良県立美術館で開催中のエドワード・ゴーリー展に行ってきました。

エドワード・ゴーリーとは?

  • アメリカの絵本作家(名前といい、作風といい、イギリス人ぽいですよね)
  • モノトーンで緻密なタッチが特徴
  • 従来の道徳や倫理観の通らない、残酷で不条理な世界感
  • 特に子どもたちが理由なく不運なめに合う、救いのない話が多い
  • 謎の生き物がよく登場する
  • 韻を踏んだ言語表現
  • 猫好き😼

独特でクールな死生観、ブラックユーモア、繊細な線画が印象的です。

大人も戸惑うダークな世界観と
子どもだった小さなゴーリー

ゴーリー本人は子供向けのつもりで絵本を描いていたそうです。
私がゴーリー作品と出会ったのは大人になってからですが、出会った当初も今も、どうしてもそうは思えない部分が多々あります。
特に親になった今、子どもが不幸になる話は余計に胸が痛み、読むのが辛くなるほど。

ただ、ゴーリーが自身の少年時代を尋ねられた時に
「小さかった」
と一言答えた、というエピソードを知り(展示内にあります)、
彼が子ども時代に感じた無防備さ無力感や、
大人から受ける理不尽に対応する術として作り上げた表現なのかもしれないと思えました。

ゴーリー自身、子どもがいなかったからこそ、
彼の中の「大きな子ども」としての感性がそのまま作品に表れているのかもしれません。

もしかしたら、実際の子どもたちは私とは異なる視点でゴーリーの世界を楽しむのかもしれませんね。

ゴーリーの遊び心 ー ペンネームの秘密 ー

ゴーリーは、複数のペンネームで作品を発表していたことで知られています。
その中でも代表的なゴーリーのペンネームをご紹介します。

  • Ogdred Weary(オグドレッド・ウィアリー):おそらく最も有名なペンネーム
  • Regera Dowdy(リゲラ・ダウディー) : 『The Evil Garden』(1966)、『敬虔な幼子』(1966)等で使用
  • Dogear Wryde(ドギア・ライド) : 主にポストカードに使用
  • D. Awdrey-Gore(D. オードリー・ゴア):推理小説パロディで使われた名前
  • Eduard Blutig(エドゥアード・ブルティグ):ドイツ語風のペンネームで、「血まみれのエドワード」という意味。

お気づきの方もいるかもしれませんが
ペンネームの多くは、自身の名前(Edward Gorey)のつづりを入れ替えたアナグラムによって作られています。
そんな遊び心もゴーリーの魅力です。

ミュージアムショップでの戦利品をご紹介

最近集め始めたマグネット
「ジャンブリーズ」挿絵.1967年
「具体例のある教訓」挿絵.1958年
「金塔ノコウモリ」バレエ・レビュー連載の飾りカット.1965年頃
ゴーリーは大のバレエファンでした。

展示は11月10日まで – 見に行くときの注意

「エドワード・ゴーリーを巡る旅」展は11/10(日)まで
奈良県立美術館で開催中です。
初見でも、思わぬ魅力にハマる方も多いので、この機会にぜひゴーリーの世界をのぞいてみてください。

【イベント情報リンク】

エドワード・ゴーリーを巡る旅
注意: 絵本の原画なので仕方がないのですが、作品が小さいです。
それがガラスケースに収められているので、尚且つ「遠い」です。
単眼鏡などがあるといいかも・・・