日本国語大辞典が改定へ!言葉の海を航る、辞書編纂の世界
お仕事
CT
Web制作をしていると、日々「言葉」と向き合う機会が多いです。
ユーザーに伝わりやすい言葉選び、SEOのためのキーワード選定、キャッチコピーの響き…。
そんな中、日本語の変化を感じることも少なくありません。
その日本語の変化を記録し、まとめ続けているのが国語辞典ですが、
このたび、日本語の集大成ともいえる
「日本国語大辞典」(通称「日国」)が
実に30年ぶりに改定されることになりました。
「日国」とは?国語辞典には種類がある?
「辞書」とひとことで言っても、実はいろいろな種類があります。
- 学習辞典(例:「三省堂国語辞典」「新明解国語辞典」) – わかりやすい説明が特徴
☞ 学生や一般向けで、わかりやすい説明が特徴です。「新明解」は時折クセの強い解説が話題になりますね。 - 中型辞典(例:「広辞苑」「大辞林」) – 語源や用例が詳しい
☞ 収録語数が多く、語源や用例もしっかり載っています。 - 大辞典(例:「日本国語大辞典」) – 圧倒的な情報量を誇る
☞ 圧倒的な情報量を誇る、日本語のラスボス的辞典です
今回改定される「日本国語大辞典」は、まさに日本語のビッグデータ。
その情報量は、なんと約50万項目にも及びます。
これは単なる辞書の更新ではなく、正に「言葉の歴史を未来へつなぐ一大プロジェクト」ともいえるでしょう。
今日は「日国」の改定にはどれほどの時間と労力がかかるのか?
その壮絶な舞台裏を少し覗いてみましょう。
言葉は時代とともに変化する
辞書は、「正しい日本語」を決めるものではなく、「この時代には、こんな言葉が使われていましたよ」と未来に伝えるものです。
例えば、「映える」や「推し」といった言葉は、少し前までは辞書になかったもの。でも今では、SNSを中心にすっかり定着しました。
一方で、「チョッキ(=ベスト)」や「マブい(=かっこいい、かわいい)」など、昔は普通に使われていたのに、今やあまり聞かれなくなった言葉もあります。
いや、チョッキは使いますけどね?私は!
言葉は生き物。新しい言葉が生まれ、古い言葉が静かにフェードアウトしていく。この流れを記録し続けるのが辞書の役目です。
辞書編纂は気が遠くなる作業
「日本国語大辞典」の改定は、一朝一夕でできるものではありません。実際、改定には10年以上の歳月がかかることも珍しくなく、まさに“超長期プロジェクト”なのです。
辞書編纂には、以下のような膨大な作業が必要になります。
① すべての語に用例をつける
辞書に載る言葉は、ただ定義を決めればよいわけではありません。
必ず「用例」を示す必要があります。
たとえば、「推し」という言葉を載せる場合、実際に文献や新聞記事などで使われた例を探し出し、「この時代にはこういう文脈で使われていました」と示さなければなりません。
「あるアイドルファンが『推しが尊い』と言ったのが最古の例」といったように、証拠となる資料を見つけるのが辞書編纂者の腕の見せどころです。
過去の雑誌、新聞、小説、ネット記事…あらゆる媒体をひっくり返し、用例を探すのは気の遠くなる作業です。
② 何度も校正を重ねる
一度書いたら終わり、ではありません。辞書の文章は何度も校正されます。
誤字脱字はもちろん、意味のズレやニュアンスの違いがないか、数えきれないほどのチェックが行われます。
校正回数は、一つの項目につき5回以上にも及ぶことがあり、まるで職人技のような精密さが求められます。
③ 辞書の「紙選び」にもこだわる
紙の辞書は、1,000ページを超えるものがほとんど。だからこそ、「紙選び」も重要になります。
- めくりやすいこと
- 薄くても破れにくいこと
- 薄くても裏のページが透けないこと
- インクがにじまないこと
これらを満たす紙を選ぶのも、辞書づくりの大切な工程のひとつです。
たとえば「広辞苑」は、特注の薄い紙を使いながらも、強度を保つための工夫がされています。
「日本国語大辞典」も、まさにそうした“辞書専用紙”の恩恵を受けています。

④ 何年もかかる大仕事
「日国」の改定には、なんと10年程の歳月がかかると言われています。
前回の改定も約10年をかけて行われましたが、今回も2024年の編纂開始から7年後の
2032年にまずデジタル版を順次公開予定、
書籍版は2034年頃の完成を目指して進められています。
「舟を編む」に見る辞書編纂の情熱
辞書づくりの大変さといえば、やはり三浦しをんさんの小説『舟を編む』が思い浮かびます。
映画やアニメにもなったこの作品では、辞書編纂に情熱を燃やす人々の姿が描かれています。(私は小説がお気に入りです)
「大渡海」という辞書の名前がまずいいですよね。(そこ)
辞書は「紙」か?「デジタル」か?
最近はデジタル辞書の利用が増えていますが、紙の辞書には「偶然の出会い」があります。
調べていた言葉の隣に、思いがけず面白い単語を見つけることがあるのは、紙ならではの醍醐味です。
言葉を大切にするWeb制作者として
「日国」の改定を機に、改めて言葉の力を考えさせられました。Webの世界でも、どんな言葉を選ぶかによって、ユーザーの印象は大きく変わります。
辞書は、未来へ言葉をつなぐタイムカプセル。Web制作者としても、その精神を大切にしたいですね。
改定後の「日国」、どんな言葉が加わるのか楽しみです!