「本わさび」と「生わさび」どう違う? 知られざるわさびの世界

なつめ ライフハック

もうすぐ6月、暑い季節はそうめんやざるそばなど、薬味たっぷりな麺類が美味しいですよね。

わが家でもわさびは必須なのですが、先日チューブわさびを買いに行くと、「本わさび」と「生わさび」の表記に遭遇。

今まで値段だけをみて選んでいたので、特に気にしなかったのですが、改めて見てみると、どう違うんだろうかと思えてきました。

というわけで、今回は「本わさび」と「生わさび」の違いを調べてみました!

結論から言うと、チューブわさびの表示はちょっと複雑!

スーパーでよく見かけるチューブわさびの「本わさび」と「生わさび」。この二つの違い、気になりますよね?

結論からお伝えすると、

  • 本わさび」と書かれているのは、日本の本わさびが原料の一部、または主原料として使われていること。
  • 生わさび」と書かれているのは、生のわさび原料(主に西洋わさび)をすりおろして使っていること。「生」は加工の状態を指すことが多く、必ずしも本わさびを指すわけではありません。

ちょっとややこしいですよね。これは法律で厳密に定められているわけではなく、各メーカーが商品の特徴を表現するために使い分けている側面が大きいんです。

では、この表示の裏側にある「わさび」の種類や、具体的な商品の違いについて、もう少し詳しく見ていきましょう!


「本わさび」とは?

本わさび

「本わさび」とは、ずばり日本原産のワサビそのものを指します。アブラナ科ワサビ属に分類される植物で、学名をWasabia japonica(ワサビアジャポニカ)といい、この学名からも「日本の植物」であることが分かりますね。

清らかな水で育つ水わさびが代表的で、独特の辛みと香りが特徴です。高級なお寿司屋さんなどで使われるのは、この本わさびです。

静岡県伊豆半島や長野県の安曇野などが有名な産地です。水温や日当たりなど、非常に厳しい環境条件が揃わないと育たないため、栽培が難しいデリケートな植物だそうです。

「生わさび」とは?

生わさび

では、もう一つの「生わさび」という言葉は何を指すのでしょうか?

一般的に使われる意味での「生わさび」は、「生のわさびをすりおろしたもの」を指します。つまり、新鮮な状態で提供されるわさびのことですね。おろしたてのわさびが最も香りが高く、辛みも鮮烈だからこそ、この表現が使われます。

西洋わさび(ホースラディッシュ)との違い

西洋わさび(ホースラディッシュ)

日本のわさびとは別に、ヨーロッパが原産の「西洋わさび」という植物があります。これは、ローストビーフに添えられている白っぽい薬味で、「ホースラディッシュ」とも呼ばれています。

西洋わさびもアブラナ科の植物ですが、日本の本わさびとは種類が異なります。しかし、辛み成分が似ているため、チューブわさびの原料として広く使われています。特に価格が手頃なチューブわさびでは、この西洋わさびが主原料になっていることが多いそうです。

チューブの「本わさび」と「生わさび」はどう選ぶ?

先ほど「結論」でお伝えしたように、チューブわさびの「本わさび」と「生わさび」の表記は、少し複雑です。では、どのように見分ければ良いのでしょうか?

ぜひ、商品の箱の原材料表示をチェックしてみてください。そして、さらに選ぶヒントになるのが、日本加工わさび協会が定めている自主基準です。

  • 「本わさび使用」

    この表示がある商品は、本わさびの使用量が50%以上のものです。本わさびの風味がより強く感じられることが期待できます。

  • 「本わさび入り」

    この表示がある商品は、本わさびの使用量が50%未満のものです。本わさび以外のわさびや香料などがブレンドされていることが多くなります。

  • いずれの表示もないもの

    「本わさび使用」や「本わさび入り」の表示がないチューブわさびには、本わさびは使用されていません。多くの場合、西洋わさびが主原料となっています。

そして、日本の産地名や「国産」の表示があれば、それは間違いなく国産の本わさびが使用されていることを示しています。

まとめると、

  • 「本わさび使用」 → 本わさびの配合が多い(50%以上)
  • 「本わさび入り」 → 本わさびが少し入っている(50%未満)
  • 表示なし → 本わさびは使われていない可能性が高い(主に西洋わさび)
  • 産地名や国産表示あり → 国産本わさびを使用

という感じで覚えておくと、スーパーでのチューブわさび選びがぐっと分かりやすくなるはずです。

わさびの詳しい情報は下のサイトを確認してみてください。
わさびの特性・効能 ー 日本わさび協会


わさびと奈良県

なんだか、社会の教科書に載っていそうなタイトルにしてしまいました…
わさびといえば静岡や長野のイメージが強いかもしれません。有名なわさび田の風景をテレビで見たことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし実は、奈良県でも「本わさび」が栽培されているんです。

主な産地は、南部の山深い野迫川村(のせがわむら)。ここでは、標高の高い土地の冷たい水を大量に引いて栽培するという、独自の工夫がされています。約40~50年前に自生していたわさびから栽培が始まり、静岡の伊豆地方から指導も受けながら、伝統的な「畳石(たたみいし)式」で育てられています。

収穫の旬は5月から7月にかけて。ちょうどシーズンということで、今、野迫川村へ行けば、採れたてのフレッシュな本わさびに出会えるかもしれません。

さらに、明日香村の遺跡から飛鳥時代(西暦685年)の木簡に「委佐俾三升(わさびさんしょう)」の記述が見つかっており、飛鳥時代からわさびが食べられていたのではないかと考えられているようです。奈良とわさびにはロマンあふれる歴史も詰まっているんですね。

「吉野方面に行ったとき、野迫川村の旬のわさびを買って帰ろうかな」なんて、楽しみもいいですよね。

わさびの奥深さに驚き

「本わさび」と「生わさび」。

なんとなく、名前から「高級そう」とか「風味がいい」みたいなイメージで選んでいたけど、表示の意味や成分を知ると、選び方もちょっと変わってきますね。これからは原材料表示や箱に書かれている内容をチェックしてみようと思います。

いかがでしたでしょうか?わさび一つとっても、意外と奥深い世界が広がっていますよね。これを機に、スーパーでのわさび選びがもっと楽しくなると嬉しいです!