🦖 新種「カンクウルウ・モンゴリエンシス」発見!ティラノサウルス進化の空白を埋める”中型”がついに登場
時事ネタ
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ティラノサウルスといえば、10メートル超の巨大肉食恐竜。
そのルーツには長年「北米起源説」が根強くありました。
ところが2025年6月12日、恐竜研究の第一人者・小林快次先生らのチームが、恐竜進化の常識をくつがえす研究成果を発表しました。
その主役が――
カンクウルウ・モンゴリエンシス!!(Kankuul mongoliensis)

なにがスゴい?6つの研究成果をざっくり解説!
① 新種の恐竜を命名
まず第一に、カンクウルウはこれまで知られていなかった新しい種です。
1972年代にモンゴルの学者であるアルタンゲレル・ペレ氏によって化石が発見され、ティラノサウルス上科の「アレクトロサウルス」に分類されていましたが、 今回詳しく分析すると、鼻骨に空洞があるなど頭や肩の骨に固有の特徴を持っており、新種と判断されたのです。
学名の「カンクウルウ」は、モンゴル語で「王子の竜」。
つまり『モンゴルの王子の竜』という意味です。
② カンクウル=大型ティラノ類の“祖先系”
カンクウルは、これまで不明だった小型から大型への進化の中間段階に位置づけられ、その「つなぎ役」として、超重要な位置にいることがわかりました。
カンクウルウの体重は500キロ未満と推定され、細く平たい歯など幼いティラノサウルスと似た特徴があります。
白亜紀末期の約8600万~6600万年前、北米ではティラノサウルス・レックス、アジアではタルボサウルス・バタールが生態系の頂点にいました。
大型のもので3.5トン超になるティラノサウルスの仲間は、小型の恐竜から大型へと進化したと考えられていましたが、それを裏付ける(進化過程の中間地点となる)化石はほとんど見つかっていませんでした。
③ ティラノ類の起源は北米ではなくアジアだった!
ティラノサウルス類は、「北米起源で単線的に巨大化した」という説が長きにわたって支持されてきました。
今回の発表されたカンクウルウは、白亜紀最末期(約8600万~6600万年前)に北米やアジアで繁栄した大型のティラノサウルスの最後の共通祖先に近い存在と分析され、
大型ティラノサウルス類はアジアで生まれ、当時陸続きだったアラスカ(ベーリング地峡)を通って北米へ渡り、その後亜科に分岐していった、と発表しています。
これはとんでもないパラダイムシフト!
④ 北米に渡った後、“過形成熟”でド派手に進化
北米に移動した大型ティラノ類(代表がタルボサウルスの仲間)が北米に渡り、
- ごついアゴ
- 巨大な体
- 太い足
など、“過形成熟”=成長しすぎたような特徴を進化させて多様化し、最終的にティラノサウルスが誕生します。

⑤ その一方で“幼形成熟”タイプも出現
同じ時代に、「幼い形のまま大人になった」ようなタイプも登場。 それがアリオラムスで、こちらはスマートな体型。 2種類が同じ時代・地域で共存できたのは、この進化戦略の違いのおかげです!

⑥ ついにティラノサウルス誕生!
最終的に、タルボサウルス(アジアで一番大きなティラノサウルス類)の仲間が北米に渡って誕生したのがティラノサウルスだったという新たなストーリーが明らかに!
ここまで明快な“進化の道筋”が描かれたのは初めてとのこと!
小林先生いわく、「あまりにセンセーショナルなので、反論論文が出るかも…」とのこと😳
ドキドキ・・・
🦕 デュオニクスと同じ地層から!
ちなみに、このカンクウルウが見つかったのは、モンゴル南部のネメグト層。
ここは、以前このブログでもご紹介したテリジノサウルス類「デュオニクス」が見つかったのと同じ場所!
息子のおかげで呪文のような地層の名前もすこーーしだけ覚えました。
ネメグト層って聞き覚えがあるね?と思ったらやっぱり!
同じ地層にいたなんて、ちょっとワクワクしませんか?
📝 まとめ:恐竜進化の「空白」が埋まった!
- 🧩 空白だった“中型ティラノ”の発見!進化のつながりが見えた!
- 🌏 アジア起源説が有力に 北米起源説をくつがえす発見
- 🔄 過形成熟 vs 幼形成熟 同時代に多様な進化戦略があった
- 🦖 ティラノサウルス誕生の道筋 アジアから北米へとつながるルートが解明
小林先生は、「調査をさらに進め、ティラノサウルスの仲間がアジアと北米をどのようなルートで移動したのか詳しく解明していきたい」とおっしゃっています。
恐竜と言えば「ティラノサウルス」と言えるほど、誰もが知るあの恐竜の出身が実はアジアだったなんて・・・。
次の恐竜映画(某パーク、某ワールド)の舞台がアジア、なんて日も近いかもしれないですね!