気になる言葉:「午」と「馬」、何が違う?「午」の由来とちょっと意外な話

なつめ ライフハック時事ネタ

2026年は午年。
年賀状では「馬」と一緒に「午」の字をよく見かけます。
あの漢字で“うま”って読むけど、“ご”とも読みますよね。

書くときに、うっかり突き抜けて「牛」になりそうで、ちょっと緊張します。
そもそも「午」と「馬」って何が違うんでしょうか。

「これってどう違うんだろう?」と思うような言葉に出会ったことはありませんか?
気になる言葉、第18弾です。

「午」と「馬」の違いとは?

それでは、違いをざっくり説明します。

  • → 干支の名前、時間や方角(南)を表す「記号」
  • → 動物の馬

「馬」はそのまま“動物のうま”。
一方で「午」は、動物ではなくて、昔の人が、時間や方角をわかりやすくするためにつけた“しるし” のようなものなんです。

ここまで聞くと「そうなんだ」で終わりそうですが、じつは『午』という字が“うま”と読まれるようになったのには、ちょっとした訳があるんです。

午はもともと『馬』じゃなかった話

杵(午)

午はもともと「杵(きね)」だった

「午」という漢字、じつははじめから動物の「馬」を指す言葉ではありませんでした。

もともと、お餅をつくときに使う木の道具「杵(きね)」のことを「午」と書いていました。
干支とはまったく別の意味だったんです。

十二支に選ばれた理由

その「午(きね)」に、大きな転機がやってきます。

大昔の中国では、季節や時間を正しく知ることが、とても大切な仕事でした。
天気予報のない時代、冬がいつ来るか、雨がいつ降るかは命に関わる情報だったからです。

そこで、国の仕事を支えていた人たち(天文学者や暦を作る人たち)が、時間や方角をそろえて表すための「特別な記号(十二支)」を作ることにしました。

その“特別な記号チーム”に、「午」がスカウトされたのです。

午の意味は「折り返し」

では、なぜ「午」が選ばれたのでしょうか。

理由のひとつは、きねの動きにあります。
餅つきのきねって、いったん上まで振り上げて、そこから一気に下ろしますよね。

じつは、太陽の動きも似ているんです。
一年の中で太陽の力がいちばん上まで行くような時があり、ここから少しずつ弱まっていく「折り返し地点」があります。

この「上がって、いちばん上まで行って、下がる」という流れが、きねの動きとそっくりだったため、「午」は一年の真ん中あたり=勢いが最大になる場所を表す記号としてぴったりだと考えられました。

こうして「午」は、十二支の7番目の記号として選ばれたのです。

十二支の「午」に馬がやってきた理由

十二支

十二支が作られましたが、当時の人たちにとって「子・丑・寅……午……」という漢字のならびは、とてもむずかしく感じられたそうです。

そこで、国を治める人たちは、「もっと身近で、覚えやすいものを合わせたほうが、みんなが使いやすくなるはずだ」と考えました。

そこで採用されたのが動物をあてはめる方法でした。
やっぱり動物って、小さな子どもでもすぐに覚えられますし、生活の中で親しみがありますよね。

そして、七番目の「午」に選ばれた動物が、力強く走るでした。

「午」という文字の響きや、太陽がいちばん強くなる南の方角(午=“火”のイメージ)とも相性がよく、「午には馬がぴったりだ」と考えられたと言われています。

つまり、

  • =カレンダーや時間を示すための“記号
  • =みんなが覚えやすいように後からつけられた“動物イメージ

という分担になっているんですね。

生活の中にいる『午』

ここまでで、「午」という漢字がどうして「馬」と出会い、干支の仲間になったのかが見えてきたのではないでしょうか。

普段はあまり気にしていませんが、「午」は今でも私たちの生活のあちこちで現役の記号として働いています。

というのも、昔の人は今のように「24時間」で時間を区切っていたわけではなく、1日を十二支にならって12こに分けていたんです。干支ひとつで、今の「2時間分」くらい。

そして、7番目の干支である「午」は お昼の担当。
「午の刻」と呼ばれ、今の午前11時ごろ~午後1時ごろを表していました。
そのちょうど真ん中が、私たちが今も使っているお昼の12時です。

  • 正午(しょうご):午の刻の “真ん中(12時)”
  • 午前・午後:その正午より “前か・後か”

こうして見てみると、現代の「24時間制」に変わった今でも、私たちの生活は午(うま)の時間を基準に動いていることが分かります。
なんだかちょっと面白いですよね。

【こぼれ話】「午」が「杵」になった理由

「午」という漢字には、後日談があります。

十二支として大切な記号に選ばれたことで、ひとつ困ったことが起きたんです。
それは、「道具のきねと同じ字で、まぎらわしい!」という問題。

そこで、「道具のきね」のほうが場所をゆずる形になり、木でできた道具であることがわかるように「木」をつけて、新しく「杵(きね)」という字が作られました。

じつは、同じような“引っ越し”を経験した干支の字はほかにもあります。
たとえば、

  • 「巳(み)」が干支に使われたので、本来の生き物のヘビは虫へんをつけて 「蛇」 に。
  • 「申(さる)」が干支に選ばれたことで、本来の意味だった“稲妻”は雨かんむりをつけて 「電」 に。

みんな、カレンダーという大役を任されたことで、名前を少し変えて新しい字に生まれ変わっていった“がんばり屋さん”たちなんです。

「午」と「馬」を振り返って

いかがだったでしょうか。「午」と「馬」の違い、少し分かっていただけましたか?…とはいえ、ほとんど「午」のお話になってしまいましたね。

普段はあまり意識しない「午」という漢字ですが、由来を知ると、正午や午前・午後といった身近な言葉も、ちょっと違って見えてくるのではないでしょうか。

記号としての「午」が生活のあちこちで活躍しているように、来年の午年も、皆さんにとって物事が「ウマ(馬)」く運び、元気に駆け抜ける一年になりますように。