3月14日は「円周率の日」むずかしそうで実は身近な“3.14”の世界へ

なつめ ライフハック

3月14日と聞くと、まず思い浮かぶのはホワイトデーという方も多いのではないでしょうか。

でも、この日はそれだけではありません。数字の並びに注目すると、3月14日は「3.14」──そう、円の周りはおまかせの「円周率の日」でもあるんです。

円周率といえば、「3.14159……」とどこまでも続いていく不思議な数字。
「学校で習ったけど、ちょっと苦手だったな」「あれって何の役に立つの?」と感じた方も多いかもしれません。

私もそう感じていた一人なのですが、調べてみるとなかなか興味深いことがわかりました。

今日は、そんな奥が深い「円周率」の世界を、いっしょにのぞいてみましょう。

そもそも「円周率」ってなんだろう?

円周率の画像

円周率とは、一言でいうと円の直径(中心を通るよこの長さ)と円周(ぐるっと一周の長さ)が、どんな大きさの円でも “いつも同じ割合になる” という決まりをあらわす数字のことです。

ちょっと想像してみてください。手元にやわらかいワイヤー(針金)のようなものがあるとします。
このワイヤーを「くるん」と曲げてきれいな丸(円)を作ったとき、そのまわりの長さはどれくらいになるでしょうか?

実は、どんなに小さなボタンでも、自転車のタイヤでも、巨大な観覧車でも、円であれば必ず「まわりの長さは、直径の約3.14倍」になります。
この「約3.14倍」という決まった比率のことを、数学ではギリシャ文字のπ(パイ)と呼びます。

では、なぜピッタリ「3」や「4」にならないのでしょうか?
そのヒントは正六角形にあります。円の中に正六角形を描くと、その外周は直径のちょうど3倍になります。でも、円は六角形よりも少しだけ外側に“ぷっくり”ふくらんでいますよね。

この「外側に少しだけ“ぷっくり”ふくらむ部分」こそが、3のあとに続く「0.14159……」という数字の正体なのです。

「円周率」の正体

円周率には、他の数字にはない「不思議な性質」が2つあります。

① 永遠に終わらない(無限性)

円周率は、小数点以下がどこまで行っても終わりません。
どんなに計算しても「ここで終わり!」という瞬間が来ないのです。

100桁、1000桁、100万桁……と続き、現在ではスーパーコンピュータが300兆桁まで計算しています。
それでも「まだ先がある」のだから、ちょっと気が遠くなりますよね。

ちなみに、スーパーコンピュータがここまで桁数を計算する目的は、円周率の“先”を知るためではありません。
それは、「コンピュータの性能テスト」のためなんです。

膨大な桁数を計算させることで、コンピュータがどれくらい高速に仕事ができるのか、
そして計算ミス(バグ)が起きないかを確かめる、いわば究極の健康診断として使われているんですね。

② パターンがない(不規則性)

もうひとつの不思議は、並び方に規則がないこと。

「123123…」のように同じ並びが繰り返されることもなく、
「ここから先はこのパターンが続くはず」という予想も当てられません。

しかも、このランダムな並びの中には、あなたの誕生日や、電話番号、好きな言葉を数字に変換したもの……
そんな 世界中のどんな数字の組み合わせも、いつかどこかに現れるかもしれない のです。

「円周率の中に、自分に関わる数字が隠れているかもしれない」
そう思うと、ちょっと探してみたくなりませんか? たとえば「私の誕生日、5000億桁目にあった!」なんてことも、あるかもしれません。

円周率の歴史

円周率は、だれか一人が作り出したものではありません。ではどのような歴史があるのでしょうか。

古代の知恵

今から4000年以上前、古代エジプトやメソポタミアの人々は、すでに「円周率はだいたい3くらい、いや、もう少し大きいぞ」と気づいていました。

アルキメデスの挑戦

紀元前3世紀、古代ギリシャの学者・アルキメデスは、円周率を「計算」で求めようとしました。
円の中に正九十六角形を描き、その辺の長さをすべて足していく方法です。

その結果、アルキメデスは「円周率は 3.140…より少し大きく、3.142…より少し小さい」という範囲を突き止めました。

日本の数学「和算」のすごさ

実は日本でも、江戸時代に独自の数学「和算(わさん)」が大きく発展していました。
「算聖」と呼ばれた関孝和(せき たかかず)や、徳川吉宗に仕えた建部賢弘(たけべ かたひろ)といった数学者たちは、西洋にも負けない精度で円周率を計算していたのです。

中でも建部は、なんと小数点以下41桁まで正しく計算していたと言われています。
さらに当時の人々は、難しい図形の問題が解けると、その問題と解き方を絵馬に書いて神社やお寺に奉納していました。
「難しい問題が解けました!」という感謝の気持ちをこめたもので、こうして作られた絵馬は「算額(さんがく)」と呼ばれています。

算額が残っていることからも、当時の日本で数学がどれほど親しまれていたかがよくわかりますよね。

なぜ学校で「3.14」や「π(パイ)」を習う?

「大人になってから円周率なんて使わないのに、どうしてあんなに練習したんだろう?」
そう感じる人もいるかもしれません。でも、学校で円周率を学ぶのには、計算力だけではない大切な理由があるんです。

「近似(きんじ)」という考え方

「近似」とは、本当の値に“できるだけ近い数字で表すこと”をいいます。
この世界には、円周率のように「完璧には測りきれないもの」がたくさんあります。

そんなとき、日常生活に困らない程度の精度(3.14)の数字を使って折り合いをつけ、現実的な答えを導き出します。
この「だいたいの見当をつける力」こそが、社会に出てからも役立つ大事なスキルなんです。

中学校で「π(パイ)」になる理由

中学生になると、円周率を「3.14」ではなく「π」と書くようになります。
これは面倒な計算を減らすためだけではありません。「3.14」はあくまで「だいたいの数字」ですが、「π」は「永遠に続くあの数字のすべて」をひとつの記号に閉じ込めた、完璧な表し方なんです。

たった一文字の記号で、果てしない数字をまとめて扱える。
これこそが数学の発想なんです。

算数では「3.14」という具体的な数字を使いますが、数学では記号を使って“もっと大きな世界”を考えられるようになります。
それが、算数から数学へ進む一歩なんですね。

数学が得意ではない私ですが、調べているうちに「数学に進むと、ちょっと特別な力を使えるみたいな感じなんだな」と思いました。
あらためて、数学ってすごいんですね。

おわりに

円周率というと難しそうに感じますが、実は暮らしのいろいろな場所で静かに働いています。
スマホの地図が迷わず道案内をしてくれるのも、毎日同じ時間に電車が走ってくれるのも、その裏側には円や角度を扱う計算が関わっているからなんです。

ふだん意識することはなくても、こうした小さな積み重ねが、今の暮らしを支えているんですよね。
円周率を学ぶことにも、そんな背景があると知っておくだけで、
数字の世界が少し身近に感じられる気がします。