8月28日は気象予報士の日|空模様と気象予報のあれこれ
時事ネタ
なつめ
最近の天気は、変わりやすくてちょっと困りますよね。
暑い日が続いたかと思えば、急にザーッと激しい雨が降ったりして。洗濯物を干すタイミングや、お出かけの計画に悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。
「今日は雨が降るかな?」「明日は何度まで気温が上がるんだろう?」そんな疑問に答えてくれるのが天気予報ですよね。天気予報といえば、「気象予報士」の名前を思い浮かべる方も多いと思います。
ちなみに、今年2025年は、日本で気象観測が始まってから150年目という、記念すべき年なんです。
今回は8月28日にやってくる「気象予報士の日」について、そして気象予報士がどんなお仕事をしているのか、なぜこの資格ができたのかなど、気象予報士についてご紹介します。普段は何気なく見ている天気予報の裏側をちょっと覗いてみませんか?
そもそも「気象予報士の日」って?
8月28日は「気象予報士の日」。これは1994年8月28日に日本で初めて「気象予報士国家試験」が実施されたことに由来しています。
それまでは、テレビの天気予報は気象庁が作った原稿をアナウンサーが読む、というスタイルがほとんどだったようです。今みたいに、専門家が自分の言葉で「今日は午後から雨が止んで夕方から晴れる見込みですよ」といった細かな説明をすることは珍しかったんですね。
昔はどうやって天気を伝えていた?

昔の天気予報は、国の機関である気象庁が「全国一律」の予報を作成し、それをテレビやラジオで放送していました。
例えば「明日は雨です」という情報も、広い地域を一括りにしたもので、細かな地域ごとの違いを伝えるのはなかなか難しかったみたいです。
また、当時のアナウンサーは気象の専門家ではなく、原稿を読むのが主な仕事。だから、聞いている側としては「この予報は当たるのかな?」と少し不安になったり、もう少し専門的な解説が欲しいなと感じることもあったかもしれません。
気象予報士はなぜ必要になったの?
1980年代〜90年代にかけて、民間の気象サービスが徐々に増えてきました。
そんな中、1993年5月に法律が改正されて、民間の気象会社は「気象予報士」という資格を持つ専門家に天気の予報をしてもらうことが義務になったんです。
これが気象予報士制度の誕生のきっかけでした。
それまでも少しずつ増えてきた民間サービスでしたが、この法律ができたことで、気象予報士の資格が「信頼できる証」となり、より多くの人たちに役立つ予報が増えていきました。
気象予報士は、気象庁から届くたくさんの専門的なデータをもとに、あらゆる情報を組み合わせて天気を読み解くプロ。自分の判断に責任を持ち、正確な予報を届けてくれる頼れる存在です。
気象予報士の仕事内容って?
気象予報士の仕事は、テレビやラジオの天気予報を担当するだけではありません。
- 防災のサポート:台風や豪雨、洪水のときには避難情報の発信を手伝ったり、危険な状況をわかりやすく説明。
- 産業向け予報:農業や漁業、建設現場など、天気が大きく影響する業界向けに細かい予報を作成。
- イベント支援:マラソン大会や野外フェス、花火大会の天気をチェックし、必要に応じてアドバイスや警戒情報を提供。
- 教育や執筆:学校や企業での講演、天気に関するコラムの執筆など。
また、台風や高潮、波浪、土砂崩れなど、天気に関わるさまざまな現象の予報も気象予報士の重要な役割です。
気象予報士にできない予報もあります
ちょっと意外かもしれませんが、気象予報士は地震や火山噴火の予報はできません。これらは「地象」という別の分野に分けられていて、科学的に予測が非常に難しいこともあり、気象庁の専門部門が担当しています。
ただし、地震や火山活動のあとに起きる津波や高潮、洪水などは、気象予報士の範囲内です。
気象予報士は「空の天気のことは詳しいけど、地震の予知は別のプロがいる」ということなんですね。
「気象予報士」と「予報官」
「予報官」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?「気象予報士」と名前が似ているので、どう違うのか気になる方もいるかもしれません。両者は役割が違いますが、どちらも天気予報にとってなくてはならない存在です。
- 予報官は気象庁の職員で、スーパーコンピューターが計算した膨大なデータをもとに、全国の天気予報を作成する専門家です。
- 気象予報士は、気象庁以外の民間企業やメディアで働く、国家資格を持った天気のプロフェッショナルです。
予報官は「公式の予報」を作り、災害時には緊急情報の発信も担当します。気象庁の記者会見で話されている方が予報官です。
一方、気象予報士は気象庁の公式予報を参考にしつつ、自分の知識や経験、地域の特徴を踏まえ、テレビやラジオ、企業、防災現場などでわかりやすく天気情報を伝えています。
天気予報はどうやって作られている?

天気予報の裏側には、最先端の技術とプロの知恵が詰まっています。
1.観測データを集める
日本全国、そして世界中から、気温や風、雨の量などあらゆる気象データがリアルタイムで集められています。
- アメダス:日本全国約1,300か所に設置されている自動観測所です。
- 気象衛星:「ひまわり」など宇宙から地球全体の雲の動きや水蒸気の量を観測しています。
- 気象レーダー:雨粒の大きさや動きを監視し、積乱雲の発達を見守ります。
2.スーパーコンピューターで計算
集まった膨大なデータを使って、スーパーコンピューターが物理の法則に基づき、未来の天気をシミュレーションします。
なんと、1時間後の天気を予測するのに必要な計算は、普通のパソコンだと何年もかかるものが、このスーパーコンピューターなら10分〜30分ほどで終わってしまうんです。
3.予報官の経験で微調整
でもスーパーコンピューターの計算結果がそのまま使われるわけではありません。
例えば、「この山の影響で機械の予測よりも雨が降りやすいかも」といった、人間にしか分からない地形や気候のクセを考慮して、予報官が最終判断を下します。
この人の経験や知恵が入ることで、より信頼できる天気予報が完成するのです。
4.気象予報士がわかりやすく伝える
そして、気象予報士はこの予報をもとに、テレビやラジオ、インターネット、企業、防災現場などで、みなさんの生活に合わせたわかりやすい天気予報や防災情報をお届けしています。
民間でも予報を作ることがある?
最近では民間の気象会社が独自の解析モデルや予報図を作っていることもあります。
これらは気象庁の公式資料とは別に、より細かい地域向けや産業向けの予報に特化したものが多いです。
衛星データなどは公開されているものが多いため、民間でも活用してオリジナルの予報を作っています。
だから、テレビやサイトで予報が違うことがあるんですね。
気象予報士になるには?
気象予報士になるには、難関といわれる国家試験に合格しなければなりません。合格率はおよそ5%前後です。
試験は、気象の知識や法律、予報技術を問う「学科試験」と、実際に天気予報を作成する「実技試験」の2つに分かれています。
合格後は、気象庁長官への登録手続きを経て、正式に「気象予報士」として活動できるようになります。
最年少合格者は小学6年生の11歳11か月、最年長合格者は77歳という記録もあり、年齢に関係なく挑戦できる資格です。
毎日の天気予報を支える人たち
毎日見ている天気予報ですが、その裏にはスーパーコンピューターや経験豊かな予報官、そして責任を持ってわかりやすく伝える気象予報士が、協力し合って作り上げていることを感じていただけたら嬉しいです。
今年は日本の気象観測150周年という節目の年でもあります。
次に空を見上げるとき、私たちのために日々がんばっている気象予報士さんたちのことを、ちょっと思い出してみるのはいかがでしょうか。