気になる言葉:ボロネーゼとミートソース、どう違う?日本と本場イタリアの味の違い

なつめ ライフハック

スーパーのパスタコーナーで、「ボロネーゼ」と「ミートソース」が並んでいるのを見たことはありませんか?
どちらもお肉の入った赤いソース。でも、ラベルを見ると別々の商品として売られています。

「これ、同じものじゃないの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
私もその一人です。

見た目はほとんど同じ。でも、値段がちょっと違う。
この違いはいったい何なんでしょうか?

「これってどう違うんだろう?」と思うような言葉に出会ったことはありませんか?
気になる言葉、第17弾です。

何が違う?

すごくざっくり言うと――
ボロネーゼ粗びき肉がゴロゴロ入っていて、甘さ控えめ。
ミートソース細かいひき肉が使われ、ケチャップなどで甘めに仕上げ。

どちらも「ひき肉のトマトソース」ですが、味わいと食感に大きな違いがあるんです。

ボロネーゼってどんなソース?

ボロネーゼ

「ボロネーゼ(Bolognese)」は、イタリア北部の都市「ボローニャ」発祥の肉の煮込みソースです。
正式名称は「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ(Ragù alla Bolognese)」。
イタリア語で「ラグー」は「煮込み」を意味し、「ボローニャ風の煮込み料理」というニュアンスになります。

使う材料はとてもシンプル。
牛ひき肉をオリーブオイルで炒め、玉ねぎ・にんじん・セロリをじっくり煮込みます。
ここに赤ワインを加えて香りを立て、少量のトマトで軽く酸味を添える――。
トマトが主役ではなく、あくまで肉のうまみを引き立てる脇役なんです。

そしてもうひとつのポイントは、「ひき肉の粗さ」。
ボロネーゼでは粗びき肉を使うことが多く、ゴロゴロとした肉の食感とコクがしっかり残ります。
口に入れると、肉の存在感を感じる“食べるソース”といった印象です。

ミートソースは日本生まれ?

ミートソーススパゲッティ

一方で「ミートソース」は、同じ“ひき肉のソース”ではありますが、実は日本で独自に発展した洋食メニューです。

ルーツをたどると、第二次世界大戦後、アメリカから伝わった「スパゲッティ・ミートソース」がヒントになっています。
アメリカではボロネーゼをもとに、トマトをたっぷり使って甘酸っぱく仕上げた“アメリカ風ミートソース”が生まれました。
それが日本に入り、さらに日本人の味覚に合うようにアレンジされていった――という説が有力です。

1950年代後半には缶入りのミートソースが登場し、このヒットをきっかけに家庭でも広まるようになりました。
ケチャップやウスターソースを加えた甘酸っぱい味と、合いびき肉のやわらかさが特徴です。
また、家庭で作りやすいように短時間で調理できることも魅力の一つです。

材料と味の違い

「どっちもひき肉とトマトでしょ?」と思われるかもしれませんが、実は材料も味の方向性もけっこう違うみたいです。表で見てみましょう。

ボロネーゼ ミートソース
発祥 イタリア・ボローニャ 日本(アメリカ経由)
主な材料 牛ひき肉、玉ねぎ、にんじん、セロリ、赤ワイン、少量のトマト 合いびき肉、玉ねぎ、にんじん、トマト缶またはケチャップ、ウスターソース
味の特徴 肉のうまみが主役。コク深く、甘さ控えめ。 ケチャップの甘みと酸味があり、やさしい洋食の味。
ひき肉の粗さ 粗びき(ゴロゴロとした食感) 細びき(ソースにしっかり絡む)

こうして比べると、どちらも「肉+トマト」ベースではありますが、ボロネーゼは「煮込み料理」、ミートソースは「パスタソース」という立ち位置に近いかもしれません。

パスタの相性にも違いが!

タリアテッレ

ボロネーゼは、本場イタリアではタリアテッレ(tagliatelle)という平たいパスタと合わせるのが伝統です。
タリアテッレはソースがよく絡み、肉のうまみをしっかり受け止めてくれます。

一方、日本のミートソースはスパゲッティと組み合わせるのが定番。
細い麺でもソースがよくなじむように、細びき肉で作られていることが多いんですね。

つまり、「スパゲッティ・ボロネーゼ」は、イタリアの伝統的な食べ方とは少し異なるスタイルのひとつと言えそうです。
これを知ると、ちょっと面白いですよね。

似ているけれど、違うおいしさ

最後に、違いをもう一度おさらいしてみましょう。

  • 🍖 ボロネーゼ: イタリアの伝統的な肉の煮込み。赤ワインと香味野菜でコク深く。
  • 🍅 ミートソース: 日本で親しまれた洋食の定番。ケチャップやウスターソースの甘酸っぱさが魅力。
  • 🔪 ひき肉の粗さ: ボロネーゼは粗びき、ミートソースは細びき。
  • 🍝 合わせるパスタ: ボロネーゼはタリアテッレ、ミートソースはスパゲッティ。

つまり、「ボロネーゼ」はイタリアの伝統的な肉料理であり、
「ミートソース」はその影響を受けつつ、日本らしい味に進化した料理なんですね。

その日の気分で、コク深くいくか、やさしくいくか――。
そんなふうに楽しめるのが、パスタのいいところです。

次にお店でパスタソースを買うとき、「今日はどっちの気分かな?」と、少し考えてみるのもいいかもしれませんね。